ポムロールはボルドーワインの中でも最も小さな地区ながらも、同地区で最高評価のワインを産み出す産地です。
ボルドーワインで最も高価と言われるシャトーペトリュスの生産地でもあります。
もともとはサンテミリオンの陰に隠れていて評価が伴わず、そのため近年になって急激にワインの価格が高騰した背景があります。
熟成が進むことによって滑らかで複雑、豊潤な第三アロマを感じることのできる上質なワインを造ります。
ポムロール
小さなボルドーのAOC
ポムロールは、リブルネ地域に位置し、ドルドーニュ川の右岸に広がる地域です。
ブドウ畑は800haほどと小さく、ポムロール村と南西のリブルネ村とララン・ド・ド・ポムロールの一部を含みます。
800ヘクタールは、おおよそメドックの格付け1級シャトーの面積を合わせた程度なので、ボルドーの中では小さなエリアということがわかります。
サンテミリオンと違い、歴史的建造物などはほとんどなく、起伏の少ない平坦な台地にただブドウ畑が広がります。
そのため観光地としては、コアなワインファン以外は見る所が何もないため、これがポムロールにとって損をしているきらいがあります。
土壌は太古の地層とドルドーニュ川によって運ばれた堆積で形成されているので、鉄分を多く含んでいます。
西側の地域は砂交じりの土壌となり、東側はサンテミリオンに近いため粘土質の土壌です。
小さな地域ながらも土壌が少しずつ違うため、個性あるブドウが育ちます。
ポムロールのブドウ品種
メルロー種を主体とし、カベルネフラン種をブレンドしたワイン造りが行われています。
カベルネソーヴィニヨン種も栽培されているものの、土壌がマッチしないのか、比率は非常に少ないです。
濃いルビー色の赤ワインとなり、渋みと酸味を感じられるリッチで濃密なワインです。
アルコール分が多いので味わいが深く、熟成に向いています。
良年の質の高いワインであれば30年は持ちこたえると言われています。
シャトーの規模が小さいため、ワインの生産量も少ないので希少価値が高いため、市場価格が高いワインとなっています。
近年になって評価が高騰
ポムロールのワインは20世紀になって高評価を得るようになり、一気に世界に名を広めました。
しかし、それまではポムロールのワインは知られておらず、サンテミリオンと同じものとして扱われていました。
シャトー・ペトリュスやシャトー・ル・パンなど世界的に知られる高級ワインあり、シャトーも平均的に高水準となります。
もともと現地での評価は高かったのですが、ポムロールそのものが知られていなかったため世界的には無名だったのです。
特に20世紀後半に多くの評論家に高得点をつけられることで一気に火が付いたのです。
ポムロールには公的格付けはありません。そこで、「The Best Chateau of Pomerol」に評価の高いシャトーを選出して掲載しています。
現在ではボルドーを代表するワイン産地となっています。