イタリアワインの”クラシコ”とは?キャンティ クラシコの違い

イタリアワインのラベルを見るとクラシコ(CLASSICO)の表記があるものを見かけることがあります。

クラシコは英語ですとクラシックで、英語、イタリア語共にもともとは”伝統的”なという意味です。

 

ワインの世界でも同様の使われ方をして、

「このワインのブドウは伝統的な畑で収穫されました」

という意味です。

 

直接的な意味合いとしては「伝統的」ですが、ワイン用語としてのクラシコは、同時にワインの品質が優れているという意味合いにもなります。

ここでは、キャンティクラシコとキャンティの違いをもとに、クラシコ表記を解説していきます。

 

合わせまして、似たような表記に

スペリオーレ

リゼルヴァ

があります。詳しくはリンク先をご参照ください。

 

イタリアワインの「クラシコ」

伝統的な畑で収穫

では、具体的にキャンティクラシコのエチケットで確認をしてみましょう。

この場合はキャンティの中でも特に伝統的な畑で収穫されたブドウで造られたということです。

伝統的な畑とは、言い換えれば歴史的に古くから栽培されていたエリアで、そうなると古くから安定してブドウを栽培していたということになります。

クラシコ表記をするキャンティは通常のキャンティよりも規定が厳しく、一般論として上質なキャンティであることが多いです。

 

具体的な規定は以下のとおりです。

キャンティ

⇒ 最低熟成期間4ヶ月

キャンティ スペリオーレ
⇒ 最低熟成期間7ヶ月

キャンティ リゼルヴァ
⇒ 最低熟成期間26ヶ月
キャンティクラシコ
⇒ 最低熟成期間11ヶ月

キャンティクラシコ スペリオーレ
⇒ 最低熟成期間11ヶ月

キャンティクラシコ リゼルヴァ
⇒ 最低熟成期間24ヶ月+瓶内3ヶ月

 

クラシコ表記イコールいいワインとは限らない?

もちろん、このように説明しますと、

「古くから栽培されているからっていいワインができるとは限らない」

このような疑問や仮説を持つ人もいるかもしれません。

確かに伝統的な畑であっても粗悪なブドウを栽培してきたところもありますし、逆に新しく拓かれた畑であっても上質なブドウを栽培しているところもたくさんあります。

そのため、ある程度の目安にはなりますが、残念なキャンティクラシコも実際にはあって、これは生産者で判断するしかありません。

 

何故キャンティクラシコがあるの?

イタリアのワイン制度でDOCGという最上クラスの区分がありますが、これが業界内で批判が多く、DOCGの基準もあいまいで適当なイメージがありました。

格付けは本来であればボトルの中身、すなわち品質で決定されるべきでしょう。

しかしDOCGはそこに業界貢献とか専門家の推薦とかの項目を持ち出し、要するに制度発起にあたって意見をまとめきれずに玉虫色の基準でスタートしてしまったのです。

そのため本来であればDOCGというお墨付きがあれば、いいワインなんだと胸を張りたくもなりますが、そうでない場合もあったのが実態です。

 

キャンティはもともとDOCGワインとして最上クラスに規定されてたのですが、なにせキャンティは栽培面積が広く、年間生産本数も1億本以上を上回る地域です。

また、キャンティはイタリアワインを代表する一大ブランドのため、極端な話「キャンティであれば売れる」という実態も手伝い、一部のネゴシアンにすれば品質よりも量を重視するスタンスをとります。

そうなると上質なキャンティを造っていた生産者にすればたまったものではありません。

そこで政府と業界団体に呼び掛けて「伝統的な畑で上質なキャンティを造っているエリアに、別のDOCGをくれ」と働きかけるのです。

それがキャンティクラシコです。

 

DOCGキャンティクラシコの誕生

確かに、当時のキャンティは押し寄せる世界からの「キャンティワイン売ってくれ」の嵐に応えるべく、並質のワインが目立っていました。

日本でも「キャンティといえばがぶ飲みワイン」というよからぬイメージがあったと思います。

これではさすがに生産者にとっても、ワインファン(消費者)にしても困ります。

単純にラベルを見ただけでは品質がわかりませんので、何を買っていいかわからないと、最悪な場合消費の落ち込みにもつながります。

そこで1996年にキャンティとは別にキャンティクラシコという別のDOCG規定ができ、消費者と生産者の保護を図っているのです。

 




ワインブックススクールのお知らせ




ワインブックスメディアは、ワインブックススクール(WBS)が運営しています。

WBSは月額2200円のみ。ソムリエ・ワインエキスパート試験合格の可能性を最大化します。

オンラインなので、いつでもどこでも誰でも参加できます。

これを機会にご利用ください。

WBSのソムリエ・ワインエキスパート試験対策講座を見る


【月額月額5000円以下の店舗向けソムリエサービス】
ワインブックスのAIソムリエサービスはこちら→