ウニコ(UNICO)はスペインのトップ・ワイナリー、ベガ・シシリアのキュヴェです。
ウニコはonly(唯一の)という意味。
満足いく出来のブドウを仕込み、納得するまで熟成した、文字どおり唯一の(ほかにはない)赤ワインです。
そのこだわり故に品質によっては生産が見送られることもあります。
1864年、銘醸地、リベラ・デル・ドゥエロに設立されたベガ・シシリアのフラッグシップ銘柄で、スペイン国内でも入手困難な1本です。
【動画でも解説しています】
リベラデルドゥエロは、スペイン語で「ドゥエロ川」という意味で、その名のとおりドゥエロ川の沿岸で生産される地域です。
そして国境を超えてポルトガルになると「ドウロ川」と発音し、沿岸でポートワインを生産するのです。
↑の地図のドゥエロ川をお時間があるときに左側の海岸線までたどってみてください(地図を拡大するとドゥエロ川がすぐ近くに見えてきます)。
恐ろしく長い川で、海沿いのポルト(PORTO)にたどり着くと小さな感激があります。
(同じような関係のワインとしてスペインのリアスバイシャスとポルトガルのヴィーニョヴェルデがあります。)
一昔前まではシェリーくらいしか海外で知られているワインがなく、スティルワインでは唯一リオハが20世紀になって台頭した程度だったのです。
その中にあってベガシシリアのウニコはリベラデルドゥエロという、当時はほとんど知られていない地域でプレミアムワインを造り続けたことが快挙でしょう。
そしてベガシシリアの成功をきっかけにリベラデルドゥエロは一気にワイン界の寵児となり、1980年代には24件しかなかったワイナリーは現在200を超すまでになるのです。
ウニコ ベガシシリア
スペイントップのプレミアムワイン
テンプラリーニョ(ティント・フィノ)80パーセント、カルベネ・ソーヴィニヨン20パーセントでブレンドされますが、マルベックを加えることもあります。
250ヘクタールの畑で収穫されるブドウは厳しく選果され、オークの大樽や小樽、新樽や古樽を使い分けて熟成させます。
通常で7年。ブドウの状態によってはもっと長く置くこともあるのです。
その期間中、10回もの清澄を行うことでワインが研ぎ澄まされます。
瓶詰めしてからも3~4年ほど熟成させるので出荷されるまでには10年以上もかかるのです。
スペインの至宝
“スペインの至宝”と呼ばれるベガ・シシリア・ウニコは一流レストランやホテルなどでお目にかかれますが、その希少性から通常販売されることはありません。
ウエイティング・リストに登録後、購入待ちとなるのです。
本数限定で店舗販売されていることもありますが、6~8万円、ヴィンテージにこだわることなく、とことん品質にこだわったウニコ・レゼルヴァ・エスペシャルになると9~10万円ほどします。
レゼルバエスペシャルは特に優良な年のリザーブワインをブレンドしたもので、↑の画像のようにヴィンテージ表記はありません。
ウニコの存在を知ったのは、恥ずかしながらソムリエコンクールの筆記試験での一問でした。
世界のプレミアムワインが羅列してあって、それを流通価格順に並べよという問題だったのです。
ウニコ以外のワインはすべて有名なワインで、価格は把握していたのですが、ウニコは聞いたことがなかったので最低価格に回答したのですが、実はウニコが最も高価なワインだったのです。
これをきっかけにいつか飲みたいと思っていたのですが、とあるお客様が融通を聞かせてくれてすぐにその思いはかないます。
色も濃く、黒みがかっていて渋みも強いのですが、口に含むと端麗で酸味が一本ぴんと筋を通しています。
積み重ねた味わいというよりも無駄をそぎ落とした印象で、これがのちにロマネコンティを飲んだ時に似ていると感じることになるのです。
スペインのロマネコンティ?
ウニコは“スペインのラトゥール”、もしくは“スペインのロマネ・コンティ”などと称えらます。
ボデガス(ワイナリー)・ベガ・シシリアのワインは第2次世界大戦時のイギリスの首相、ウィンストン・チャーチルのお気に入りだったことでも知られています。
(チャーチルのワイン好きは有名で、シャンパーニュではポールロジェをひいきにしている)
酒豪で葉巻もたしなんだ伊達男が好むワインは言うまでもなく一級品。
イギリスのチャールズ皇太子とダイアナ元妃のウエディング・パーティーでも振る舞われました。
フランスでもイタリアでもない、とはいってもアメリカやオーストラリアでもない国のプレミアムワインをいただこうというとき、ぜひウニコを思い出してみてください。
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