シャサーニュモンラッシェ(CHASSAGNE MONTRACHET)は、ブルゴーニュを代表するワインを生産する村です(実際にはREMIGNYの一部も名乗れる)。
赤と白の両方が生産されていて、お隣のピュリニーが白が圧倒的なのに対してシャサーニュは白が7割、赤が3割程度になっています。
コートドボーヌに立地し、北はピュリニーモンラッシェ、南はサントネに隣接しています。
コートドボーヌの中でも1級畑が最も多くある、優れた産地なのです。
村名クラスと1級畑で300ヘクタールの面積があって、毎年おおよそ白ワインが140万本、赤ワインが70万本を生産しています。
偉大な特級畑であるモンラッシェとバタールモンラッシェを隣村のピュリニーと分け合っていて、単独の特級畑としてクリオバタールモンラッシェがあります。
世界最高の白ワインであるモンラッシェは、ワインの名称の手前に「ル」がつくとシャサーニュ寄りのワインということになっています。

こちらはシャサーニュ寄り
もともと19世紀までシャサーニュでは赤ワインを主流に生産が行われていました。
しかしながら特別な赤ワインといった印象が少なく、そのうち白ワインの秀逸さの人気が高まり、赤ワインは影に隠れてしまいがちになりました。
ピュリニーモンラッシェとの違いは、シャサーニュのほうが堅くなく、そのぶんリッチでこくがあり、早く飲み頃が来るとされています。
↑地図を検討すると、グランクリュのモンラッシェ群を最後に906号線で畑は分断されています。
もともとはここを高速道路が通ることになっていたのですが、住民の大反対にあって高速道路は東側にシフトされました。
そのためサヴィニーレボーヌの手前のところを急に曲がるようなへんな作りになった経緯があります。
現在の経済効果を考えると、これを間違っていたらとんでもない損失だったでしょう。
シャサーニュモンラッシェのワインは、どうしても白ワインが注目されがちですが、ワインファンこそ赤ワインに目を向けてみてはいかがでしょうか。
本来は赤ワインも歴史の長い産地ですので、魅力ある味わいを楽しめます。
白ワインのイメージが強いからか、赤ワインは品質に比べて価格が押さえめの傾向にあります。
その意味では通好みの赤ワインとして、ワインショップなどで見かけた際には思い出してみてください。
プルミエクリュの畑は以下のとおりです。
無数にありますし、試験やコンクールでもなければ「こんなにあるんだ」程度で問題ありません。
→プルミエクリュを見る
シャサーニュ モンラッシェ
わかりづらい構造
これはブルゴーニュワインの泣き所なのですが、シャサーニュモンラッシェは「モンラッシェ」と名前がつくため混同されやすく、マーケットからすればやや不親切な構造といえます。
ここでしっかりと押さえておきましょう。
単なる”シャサーニュモンラッシェ”の場合、基本的には特級や1級に該当しないワインがブレンドされてリリースされます(村名クラスとかヴィラージュものなどと呼びます)。
次に、1級畑です。1級畑は「プルミエクリュ PREMIER CRU」と呼びます。
これもシャサーニュモンラッシェの名前がつきます。
CHASSAGNE MONTRACHET 1ER CRU~畑の名前~
という具合です。
この場合は通常は村名クラスのワインよりも限定された畑で栽培されたブドウから造られますので当然品質は上がります。
ただし、生産者によってボラティリティがあって、特級ワインに負けない品質のものもあればその逆もありますので検討が必要でしょう。
最後に特級畑です。特級畑を「グランクリュ GRAND CRU」と呼びます。
グランクリュはシャサーニュの文字がありません。グランクリュの銘柄そのものずばりでリリースされるのです。
シャサーニュモンラッシェ村のグランクリュは三つあって、
・ル モンラッシェ
・バタールモンラッシェ
・クリオ バタール モンラッシェ
がありますが、このうちル モンラッシェとバタールモンラッシェはお隣のピュリニーモンラッシェとまたがっています。
ブドウの品種
白ワインはシャルドネを使用しており、赤ワインはピノノワールが使用されています。
白ワインの生産量は60%となっており、赤ワインより上回っています。
畑は、村の北西にあるブラニィの丘の南東向きの斜面にあり、そのため日当たりも良く、ブドウの栽培に適しているのです。
ジュラ紀に形成された土壌は、石灰質や砂利、泥灰などが複雑に交わっており、ワインの味に大きく影響を与えています。
あまりにも白が有名なため赤ワインが陰に隠れていて、これが損している傾向にあります。
そのため赤ワインの中には品質が優れているのにも関わらず価格が低いこともあって、その意味ではシャサーニュの赤はお値打ちのワインと言えます。
シャサーニュ・モンラッシェの特徴
白ワインは、ゴールドの美しい色となり、豊満で優しい味わいが特徴です。
アカシアの花のようなアロマにヘーゼルナッツやバターを感じるワインです。
この土地ならではのミネラルも豊富に感じられます。
熟成するとハチミツや洋ナシのようなアロマとなり、まろやかで余韻の長いワインへと変化していきます。
ムルソーやピュリニーとの比較はどうしてもされる傾向にありますが、これらの中では最も柔らかくこくがあり、花のような豊潤さを持ち合わせているといわれています。
一方で赤ワインは、野イチゴやキイチゴのアロマにスパイスも加わったような複雑さがあります。
若い内は、タンニンが硬い印象ですが、熟成させると凝縮した深い味わいへと変化します。
楽しみ方のコツ
シャサーニュはピュリニーに比べて相対的に評価が低く、コストパフォーマンスの高いワインが多いことで知られています。
そのため通好みのワインで、理解のある人にこそお飲みいただきたいワインといえます。
温度は白で10度程度と高めで問題ありません。わかめのワインであればデカンタージュをしてもいいでしょう。
できればグラスはいいものをつかい、静かでワインに集中できる環境でお飲みください。
お料理は、ご家庭での料理よりもシェフがしっかりと作りこんだ料理がいいでしょう。
力強さもある白ワインなので、白身魚以外にもフォアグラやオマール海老など高級食材とも相性良くなっています。
赤ワインは滑らかなタンニンを感じるものが多いので、子羊との相性が良くなっています。
じっくりとローストした子羊肉の風味とシャサーニュの赤ワインは、最高のマリアージュでしょう。