ワイン好きであれば毎年のボジョレーヌーボーの解禁日を待ち遠しく思っている人も多いでしょう。
日本でも11月になると、急にテレビやネットのメディアがボジョレーヌーボーのことを取り上げだします。
2019年の解禁日は11月21日。2018年が11月15日なので1週間遅れることになります。
ここで、せっかくですのでボジョレーヌーボー2019を味わう前に、基礎知識を得てより一層ワインを味わい深くさせましょう。
フレンチレストランやホテルでは、ボジョレーパーティーが開かれるところも多いでしょう。
私が18歳のころ勤務していたフレンチレストランでもボジョレーパーティーを開催していました。
もちろん前日にはボジョレーヌーボーは入荷するのですが、日をまたいで0時ぴったりに開栓するためにコルクを開けきらずに寸前で止めろと指示をされるのです。
そんなこと言われても18歳の小僧には馬耳東風で、先輩がいないうちに全部開け、何食わぬ顔してコルクをしめなおしていました。
上手くばれなかったと思っていたのですが、コルクは見事に上下真逆で、バレないほうが不思議でしょう。
今考えると先輩はそんなことはすべてお見通しで、仕方ないなあと思っていたのか、叱るのも面倒くさいと思っていたのかもしれません。
もう30年近く前のことですが、今考えると恐ろしいことをしていたと思いますし、いまであれば期日前に開栓するのをSNSとかに投稿しても炎上するだけでしょう。
ユーザー様にはこんなことはお勧めしません。栓を開けるのは日をまたいだ後にしましょう。
ボジョレーヌーボーの全体像を知りたい方は、
をご参考ください。
ボジョレーはもともとリヨンの安居酒屋とかでのどを乾かしている人たちに愛されたワインで、
「リヨンには三本の川がある。ローヌとソーヌと、ボジョレーさ」
と親しみを込めて呼ばれていました。
それらの居酒屋ではボトルで買うよりも樽で直接買って、これを直接注ぐような気軽なものだったのです。
何故ボジョレーがここまでの人気になったのかには様々な推測がありますが、ひょっとしたら、
「いいブルゴーニュワインは熟成を経るべきだ」
という少々気難しいワインの風潮への自律反発に端緒があるのかもしれません。
ボジョレーヌーボー2019
解禁日は11月21日!
ボジョレーヌーボーはその年に収穫されたブドウをすぐにワインに仕上げて出荷します。
新しい物好きは日本だけではなく世界中にいますので、そういう人は「誰よりも早く飲みたい」と願うのが人情でしょう。
そうなると生産者の側も早く出荷しようとスピード競争が始まります。
こうなってしまうとスピードを優先させるがあまりに品質のコントロールができなくなってしまいます。
フランス国家としては品質の低下はなんとかして避けたいのです。
そのため11月の第三木曜日と日程を定めて、その時以前に消費者が口にしないように法律で規制をしているのです。
あまり知られていないのですが、もともと1951年まではボジョレーの最短売り出し日は12月15日でした。
しかし、それではボジョレーの良さである新酒の良さが伝わらないとして生産者から苦情がでて、
「特殊な製法をするものに限って期限前に販売できる」
旨の通達を農務省が出しています。おそらくこれが今でいうボジョレーヌーボーの始まりでしょう。
しかし、これが逆に生産者間に「どこよりも早く出荷しよう」という競争を引き起こしてしまうのです。
こうなると品質よりも出荷の早さに重きが置かれるようになり、これを反省する形で1967年に正式に11月15日に設定されます。
実際に生活するといやという程わかりますが、フランスは土日に経済が動かずほとんどのサービス業も休みを取ります。
もちろん流通業も同様です(最近はすこし違うようです)。
では、11月15日が土日になってしまうと経済がストップした日に解禁となってしまいます。
そうなるとワインはいきわたらないし、無理して輸送する人からすれば反発心も芽生えてしまいます。
そのため、流通や経済に影響をできる限り与えないように1985年に11月の第三木曜日と制定をしたのです。
そもそもボジョレーヌーボーとは?
ではここで、そもそも「ボジョレーヌーボーってなに?」という、いまさら聞きにくい部分をざっくりとおさらいしましょう。
ボジョレーヌーボーは、BEAUJOLAIS NOUVEAUとつづります。
ボジョレーは地区の名前、ヌーボーは新しいという意味です。
つまり、「ボジョレー地区の新しいワイン」ととらえて問題ないでしょう。
本来、ワイン用語の正しい呼び方はプリムール(PRIMEUR)と書くのですが、だれもボジョレープリムールだなんて呼びません。
実査にフランスのヤフーで検索してもサブキーワードには一番上に「BEAUJOLAIS NOUVEAU」とでてきて、プリムールのプの字も出てこないのです。
↓の地図を見てもお分かりのとおり、ほとんどが平地ですので機械化を導入しやすく、そのため大量に生産する製法が取りやすいのです。
また、土壌の花崗岩質土壌はガメイの品種と折り合いがよく、この花崗岩質土壌がにボジョレーに集中しています。
少し離れるとまた石灰質土壌になり、こうなるとシャルドネやピノノワールのほうが良くなるのです。
ボジョレー地区はフランスのブルゴーニュ地方の南部にあって、リヨンという都市の近くにあるワイン生産地域です。
ブドウ品種はガメイという品種を使い、ほとんどが赤ワインを生産しています(白やロゼもありますがここは無視していいでしょう)。
そしてマセラシオンカルボニックという製法を用いてフレッシュで飲みやすく、ブドウをそのままいただいているようなワインを造るのです。
マセラシオンカルボニックとは、ブドウを収穫後、ぐちゃぐちゃに破砕しないでそのままタンクに詰め、粒のまま発酵をさせる手法です。
発酵が始まると二酸化炭素が発生し、そのため酸素との接触が減り、その結果フレッシュで飲みやすいワインとなるのです。
ボジョレーの功罪
ボジョレーヌーボーは、もともと個性に乏しかったガメイ種に光をあて、新酒という発想を取り入れ大成功したワインです。
世界中でボジョレーパーティーが開催され、その経済効果ははかり知れません。
ほとんどは普及型のワインで、日本であればコンビニやスーパーなどで1500円もあれば十分においしいボジョレーヌーボーをいただくことができます。
その一方で、これは影響力の大きなワインの宿命ですが、ボジョレーヌーボーはインポーターなどのワイン関係者によってはあえて扱わなかったり、あるいはネガティブな印象を持つ人も少なくありません。
オスピスドボーヌと同様に、ボジョレーヌーボーは期限を定めて仕上げる必要があるため、農産物に限りなく近いワインというイメージとはやや乖離があるのはその通りでしょう。
ブドウの収穫時期は、本来であればブドウや天候の都合で決まるはずなのに、人間が決めた期日に合わせて収穫をしなければならないのです。
また、新酒を味わうイベントのため、船便では間に合いません。すべて飛行機便で輸入をすることになります。
そのため本来の価格よりも高い価格で流通することになり、これが一部のワイン関係者はネガティブにとらえているのです。
水を差すようで申し訳ないとは思うのですが、ユーザー様におかれましては「こういう考えもあるんだ」ととらえていただければと思います。
ボジョレーヌーボーに合わせる料理は?
では、ボジョレーパーティーなどでお料理を合わせるときのために、どのような料理がいいのかを検討しましょう。
まず、ボジョレーヌーボーは高級ワインのように繊細で緊張して飲むようなものではありません。
極端な話、リラックスしてがぶがぶ飲むほうがワインにとってはふさわしい飲み方でしょう。
渋味も少なく、酸味と果実味が心地よいワインで、ウキウキするような華やかな香りが特徴です。
そのため、パーティーであればカナッペや生ハム、ソーセージなどの気軽なおつまみにピッタリでしょう。
肉料理であってもシチューやステーキのような食べ応えのあるものではなく、お料理自体も気軽にいただけるようなものが合わせやすいです。
ご家庭であればそれこそ肉じゃがにも合わせやすいですし、麻婆豆腐などの中華にもピッタリでしょう。
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