クローズエルミタージュとは?味わいと特徴、ブドウ品種

クローズエルミタージュ(CROZES HERMITAGE)は、ローヌ地方北部でもトップクラスのワインを生み出すとされているエルミタージュに隣接するAOCワインです。

ワインのタイプも、名前も似ていることからエルミタージュと混同されがちですが、品質、価格ともにエルミタージュとは異なっていて、別のワインといっていいでしょう。

 

エルミタージュとともにローヌ地方北部では唯一の左岸にあるAOCです。

11の村で生産されていて、概ね1400ヘクタールの畑から年間50000hlのワインを生産しています。

(コミューンはBeaumont-Monteux, Chanos-Curson, Crozes-Hermitage, Érôme, Gervans, Larnage, Mercurol, La Roche-de-Glun, Pont-de-l’Isère, Serves-sur-Rhône, Tain-l’Hermitage.)

50000hlはエルミタージュの約10倍で、北部ローヌのすべてのワイン生産量と比べても約6割を占めています。

クローズエルミタージュは、北部は緩やかな丘陵地域で南部はほぼ起伏のない平坦な沃野になっています。

エルミタージュに比べて価格があまりにも安いので隠された理由があるんじゃないかと邪推してしまいがちですが、ここにそのヒントがあります。

平たんな栽培地であれば機械化の導入がしやすく、また指定栽培地域そのものも広いので、要するに大量に造ることが可能なのです。

もちろん品質自体もエルミタージュとは違うのですが、よく見かけるため大衆的になった、というところも大きいでしょう。

後述しますがここは協同組合のワインにいいものが多く、安心して気軽においしいワインを飲みたいときにこそお勧めできるワインなのです。

なお、参考までに、評価の高い生産者として、

Ferraton Pere et Fils、Delas Frères、Domaine Belle、Domaine Laurent Combier、Domaine Michelas St Jemms、Guigal 、 Chapoutier、Paul Jaboulet Aine、Vidal Fleury、Chave

等があって、これらは価格もほかのクローズエルミタージュよりも高いです。

クローズエルミタージュ

ワインの全体像

クローズエルミタージュは、シラーの銘醸地でもあるローヌ地方北部に位置します。

ブドウ畑は1400haと広大で、ローヌ北部で最大面積です。

そのためローヌ地方の生産量の6割を占めています。

エルミタージュの丘を囲むように広がり、巨大な段々畑になっていますが、ブドウが栽培されている地区は比較的平坦な土地です。

11の村が産地に含まれ、日照りに恵まれて土壌は石灰岩とブドウ栽培に適しています。

 

ブドウの品種は、85%以上シラー種を使用することが義務付けられています。

ブレンドが可能なブドウ品種は、白ブドウであるルーサンヌとマルサンヌです。

(白ブドウは、現在はほとんどブレンドしない)

 

白ワインも認められていて、生産量が少ないながらもクオリティとコストパフォーマンスに優れています。

ルーサンヌとマルサンヌを使用した芳醇で早飲みタイプの甘口です。

 

ワインの味わい

エルミタージュは高額なワインですが、クローズエルミタージュは手頃な価格で購入することができます。

隣接するエルミタージュワインに似た仕上がりですが、クローズエルミタージュの方が柔らかい口当たりのミディアムボディになっています。

シラー種のワインは重厚なイメージですが、クローズエルミタージュは比較的フルーティーでみずみずしいワインです。

飲みやすいながらもエレガントさのある味わいといえるでしょう。

 

クローズエルミタージュは古い栽培農家が多く、それらの多くは伝統的にブドウ栽培農家は自社醸造せずにタンエルミタージュにある協同組合の醸造所で仕上げられることになります。

それぞれの栽培農家はそれぞれの意見でブドウを栽培していて、これはこれでワインになれば面白いとは思うのですが、さすがにこれでは一貫性に欠けてしまうのです。

ブドウ栽培農家の親爺さんはそれぞれが「おらが村が一番だ」と主張するので、当たり前ですが統一感は出しづらい。

ここで協同組合が威力を発揮します。

協同組合にもちこまれた個性的なブドウを、大学で醸造学を学んだエリートがブレンドし、うまくまとめて一丁上がりとするのです。

親爺さんの栽培したブドウをそのままワインにして飲んでみたい気もしますが、協同組合のワインにはこういう背景もあるのだと思ってお飲みいただくのも、また一つの味わいといえます。

 

楽しみ方のコツ

クローズエルミタージュは決して高級ではありません。

そのため背筋を伸ばして緊張して飲む、というよりはリラックスして気軽に楽しみたいワインといえます。

温度も16度くらいに設定して、あとは特に温度は気にせずにおおらかにお飲みになるのがいいでしょう。

(白ワインであれば10度くらいに少し冷やして飲むと豊かな果実味が爽やかに感じられます)

大ぶりのグラスは必要ありません。チューリップ型の小ぶりなものでいいでしょう。

料理に合わせる際も、エルミタージュのようなレストランの高級料理というよりも、もっと気軽なパーティーなどに向いているワインです。

例えば河原でバーベキューをして、子羊肉にハーブをたっぷりと利かせて豪快に焼いたものは最高のマリアージュです。

お肉全般に合わせられますが、スパイスの香りが強いので、クセのないジビエ料理などの肉料理とも相性が良いでしょう。

子羊肉もジビエもそのままでは個性的な風味があるので、スパイスやハーブで香りづけをするのですが、これがクローズエルミタージュによく合うのです。

骨付きのお肉にかぶりつき、口に広がる脂の味わいを、ワインとともにいただいてみてはいかがでしょうか。

きっと素晴らしいマリアージュになるでしょう。

 




ワインブックススクールのお知らせ




ワインブックスメディアは、ワインブックススクール(WBS)が運営しています。

WBSは月額2200円のみ。ソムリエ・ワインエキスパート試験合格の可能性を最大化します。

オンラインなので、いつでもどこでも誰でも参加できます。

これを機会にご利用ください。

WBSのソムリエ・ワインエキスパート試験対策講座を見る


【月額月額5000円以下の店舗向けソムリエサービス】
ワインブックスのAIソムリエサービスはこちら→