ラターシュ ワインとは|特徴とブドウ品種、ポイントを解説

ラターシュ(LA TACHE)は、ヴォ―ヌロマネ村にあるグランクリュの一つで、ロマネコンティに次ぐ取引価格のワインです。

世界中のワインファン垂涎の的で、真に偉大と呼ばれています。

ヴォ―ヌロマネの頂点はおろか、ブルゴーニュの中でも頂点と言って過言ではありませんが、もともとはロマネコンティよりも小さな畑でした。

1932年に隣接するレ ゴーディショの畑との地質学的な類似点を所有者であるDRCが指摘、行政への働きかけで区画変更をして現在の区分になっています。

そのため地図上では分散した畑になっていて、それをDRCが単独所有しています。

赤ワインのみの生産で、ブドウ品種はピノノワール100%です。

ラターシュの隣接する北と西の畑はもともとゴーディショでした。

そのころのラターシュは1.4345ha、ゴーディショは4.6275ha。

ロマネコンティの畑が1.8haなので、このときはラターシュのほうが狭かったのです。

 

そこを↑の①と②を併合する形で現在のラターシュの畑となります。

ただし、もともと②には部分的に小さな所有者が点在していて、併合の時も所有権の移転はなかったのです。

そのため、それらのドメーヌは現在でもゴーディショのワインを造っています。

 

現在のラターシュは6.0620ha、DRCのモノポールで平均生産量は年産1660ケースです。

 

ご覧↑のように縦長の畑になっていて、斜面上部は傾斜が急で、下部に行くと村と隣接するところまであります。

 

2004年の改植のときに土壌を掘り起こして調査をしたところ、複雑な構成が判明しています。

 

最上部はプレモー石灰岩、中央部は頁岩状石灰岩、下部は貝殻堆積泥岩と、3つの土壌に分類されます。

 

土壌が不均一なので、それがラターシュの味わいに複雑味をもたらしていると考えられています。

ラターシュ

語源

ラターシュの語源はなぜかあまり語られていません。

語源は諸説ありますが、大きく分類すると二つの対立する意見に集約されます。

一つはTACHEの元々の意味である労役(英語のtask)で、多くの畑ではa la tache とする時間給での労働が行われていたので、それが語源ではないかとの説。

「それだけ造るのに大変なワインなんだ」とすることでストーリーには落とし込みやすいでしょう。

 

もう一つが古語のTACHEの意味”斑点”ではないかとの説があります。

前述のようにラターシュは元々はごく小さな畑でしたので、それを斑点とみることも可能でしょう。

そのためこちらのほうが信ぴょう性が高いとも言えますが、とはいえもっと小さな畑は他にもありますので、これもやや不明瞭です。

 

ブルゴーニュの畑はもともとワイン生産者(栽培農家)の力が強く、そのため貴族的な発展を遂げたボルドーに比べるとはっきりとした資料に残りにくい性質がここに表れています。

 

ワインの特徴

テイスティングには向かない?

ラターシュやこれと同格のワインの味わいを色々ならべるのは、意味合いは見出しにくいでしょう。

これはワインの評価をすることが不要とかできないとかというわけではなくて、このレベルに達したワインに対するふさわしい言葉が多くの人には見つからないからです。

「100年に一つのワイン」「すべてにおいて超越したワイン」

などの言葉は使っただけしらけてしまうし、ふさわしい気もしません。

また、果実やスパイスとの組み合わせで例えるのも意味がないようにも感じます。

 

そのうえで一般論としては、DRCのほかのワインに比べると大きな仕上がりというか、果実の凝縮感を伴った完璧なバランスだといわれています。

 

色は濃く、凝縮されたワインなので「ロマネコンティの腕白な弟」とも呼ばれています(当たり前ですが、この表現をDRCは面白く思っていない)。

もっとも、この表現ですと未成熟なワインというイメージを抱くかもしれません。

実際にはロマネコンティと並ぶ格ながらもパワフルなフルボディですので、これは価格から見たイメージのことなのでしょう。

(ただし実際にラターシュのブドウ樹は75%がロマネコンティからの選抜です)

 

チェリーやベリーなどの果実と甘草やスパイスが絶妙なバランスのアロマで、絹のように滑らかな舌触りが特徴です。

余韻の長さが特徴的で、よく「クジャクの尾」と表現されます。

非科学的な表現になりますが、医療分野の中でも特に神経生理学にたけている人は、おそらく舌よりも奥には感覚はないと断言するでしょう。

しかし、ラターシュのアロマの広がりや余韻は、確実に舌の奥になにかを感じさせるもので、分析とかそういうものを超えて心を奪われるものです。
 

凝縮した果実の濃密な味わいは、「神に約束された畑」と呼ばれるクリマから収穫された、水分が少なくエキス分の濃いブドウを使用しているからです。

ピノノワールを最高の状態で味わうことのできるワインとしては、ロマネコンティと並ぶ存在と言っても過言ではありません。

 

ワインの評価

ラターシュは平均価格が40万円ほどで、ヴォーヌ・ロマネの8つのグランクリュの中でもロマネコンティに次ぐ高い価格の銘柄と言われています。

ヴィンテージによっては、ロマネコンティの品質を凌ぐ評価を得ることもあるほどです。

傑出した年は、1999年・2003年・2005年・2009年と言われていますが、毎年比較的に安定したワインです。

2005年のラターシュは特に素晴らしいものと言われており、濃厚でエレガントな味わいとなっています。

 

キュヴェ デュヴォ― ブロシェ

ラターシュにはセカンドラインとも言えるワインがあり、それが「キュヴェ・デュヴォー・ブロシェ(Cuvée Duvault-Blochet)」です。

ラターシュを主体としたDRCが持つ畑のブレンドワインとなり、20万円前後の価格で購入することができます。

発売当初は5万円前後であったものの、人気が高くプレミアがついて現在の価格に至っています。

 

DRCは、畑の面積が狭いにもかかわらず、さらに収量を極端に制限します。

そこからさらにブドウを選別しますが、一般のブレンドワインに回すにはもったいないほどの出来の年にだけ生産されます。

AOCはヴォーヌロマネプルミエクリュとなっていますが、かなりのレアワインで、日本のワインショップでもほとんど見かけることはありません。




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