フランスのシャブリ(CHABLIS)といえば、シャルドネから造られる世界的にも有名な辛口白ワインの産地です。
野菜や牡蠣などと相性が良いだけでなく、和食とも相性が良いことから日本でも人気の高い白ワインですね。
キンメリジェンヌと呼ばれる石灰質の土壌で生産される、ピリッとした酸味のクリスピーな口当たりのワインとして知られています。
ミュスカデと同様に青魚の塩焼きなどの日本料理とのマリアージュもほかのワインに先駆けて紹介されました。
日本料理との相性の良さはマーケティング上都合がよく、これも”白ワインイコールシャブリ”のイメージ浸透に拍車をかけるのです。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 通年 | |
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最低気温 | 0,1 | 0,7 | 2,5 | 4,7 | 8,2 | 11,4 | 13,3 | 13,1 | 10,7 | 7,5 | 3,2 | 0,8 | 6,4 |
平均気温 | 2,9 | 4,2 | 6,7 | 9,7 | 13,4 | 16,7 | 19,1 | 18,7 | 16 | 11,9 | 6,4 | 3,5 | 10,8 |
最高気温 | 5,6 | 7,7 | 10,9 | 14,7 | 18,6 | 22,1 | 24,9 | 24,3 | 21,4 | 16,3 | 9,7 | 6,2 | 15,2 |
シャブリ地区はぶどう栽培のほぼ北限にあたり、↑のように気温は低く、ブドウ栽培農家にとっても厳しい気候です。
あまりにも気温がさがると、なんと畑の通り道に火をともして冷害をふせぐほどで、その過酷さがうかがえます。
初春のころになるとスプリンクラーで水を撒くのですが、これは何をしているのかわかりますでしょうか?
画像だけ見るとわざわざ氷を作っていて、なんてことをしているんだと思いませんか?
もちろんこれには訳があって、このようにスプリンクラーでみずをまくことによって、新芽の周りに氷の膜を作ります。
こうすることで新芽が0度を大きく下回ることを防ぐのです。
北限ですから当然冷害には悩まされていて、シャブリの生産者はこれ以外にも様々な手法を用いてブドウを育て続けているのです。
シャブリ ワイン
全体像
シャブリ地区はブルゴーニュ地方はもちろんブドウ栽培全体でもの最北となり、そこで生産されるシャブリは4つの等級に分かれています。
シャブリグランクリュ
シャブリプルミエクリュ
シャブリ
プティシャブリ
(詳しくはリンク先をご覧ください)
と分かれており、上に行くにしたがって品質が高くなります。
AOCシャブリが生産の70%近くを占めています。
シャブリはあまりにも有名なため、ひとくくりでとらえられがちですが、実際にはこのようにシャブリにも様々な格付けがあり、さすがにひとまとめにするのはシャブリが可哀そうです。
通常のイメージのシャブリは、単なるAOCシャブリかプティシャブリのほうがイメージ的には近く、逆にプルミエクリュやグランクリュはシャブリのイメージには遠いかもしれません。
プルミエクリュやグランクリュ本来は10年程度熟成させることで最高の風味を感じることのできる世界に誇るワインのはずなのですが、シャブリのイメージからか、どうしても早く消費されてしまう傾向があるのです。
熟成の進んだ上質なシャブリは、ブルゴーニュの中でも秀逸といえるワインで、もしワインショップなどで見かけた際は思い出してみてはいかがでしょうか。
ワインの特徴
シャブリといえば、上質で辛口の白ワインの代名詞です。
クリーンで爽快な酸を感じることができ、ブルゴーニュ最北の冷涼な気候だからこその美しい酸が持ち味となります。
また、シャブリは豊富なミネラルも特徴となっており、石灰質の土壌からしっかりと吸い上げたミネラルを感じることができます。
シャブリグランクリュやシャブリプルミエクリュは等級が高いため、複雑で重さもありながら、上品さを一層感じることができます。
また、シャブリやプティシャブリは、早飲みタイプとなり、冷やすことでフレッシュさをより楽しむことができます。
シャブリ地区のポツン
シャブリ地区は、ブルゴーニュ地方の中では最北端にありますが、なぜかぽつんと離れて位置していることがわかります。
実際にコートドールの北にあるディジョンとシャブリは結構な距離があり、この間にはワイン産地はほとんどありません。
これはなぜでしょうか?
もともとシャブリ地区は上質な白ワインの産地としてブルゴーニュ北部全土でブドウ栽培がおこなわれていました。
パリの近くにあったことからも首都の旺盛な食欲を満たし続けていたのです。
しかしそのシャブリ地区に歴史上最大の危難が訪れます。
19世紀の後半に襲ったフィロキセラは、ブルゴーニュ全土を襲い、壊滅状態に追い込むのです。
ブルゴーニュは当時からすでに単一品種で栽培していたため、フィロキセラからすればわかりやすい格好の食糧源となったことも災いします。
植えなおすためには大量の資金投下が必要なところに折悪しく鉄道が開通します。
この鉄道によって南フランスの安価なワインがパリに流通することになり、シャブリ地区は困窮を極めるのです。
追い込まれた農家の方たちは当然生活のために、どこかでブドウ栽培に見切りをつけないといけない、ということになります。
ほとんどのブドウ農家は徐々に金になるほかの作物に切り替えるようになるのですが、シャブリ地区の生産者だけ粘り強くフィロキセラの危難が過ぎ去るのを待ったのです。
これがブルゴーニュの中でもシャブリ地区がポツンとある理由です。
そんな生産者が造るワインですから、ワインの質は悪かろうはずはありません。
シャブリ地区のワインがこれほどの名声を得るのは、先人のワインにかける執念が生んだものといえるのかもしれません。
合わせる料理
シャブリといえば生カキの相性が有名です。
もちろん生カキのミネラル感とシャブリの爽快な酸味と石灰岩質土壌から来るミネラル感は相性がいいのはイメージできるでしょう。
とはいえ、生カキは高級料理ではありませんので、この場合はシャブリ・グランクリュやプルミエクリュよりは通常のシャブリやプティシャブリがいいでしょう。
シャブリ・グランクリュやプルミエクリュであれば、牡蠣をグラタンにしたり、ジュレにした高級料理と合わせたいものです。
当初シャルドネは木の樽を用いた醸造が行われていましたが、木樽だと複雑性が出すぎてしまい、シャブリのイメージとは若干の違和感があります。
そこで現在では、酸を生かすためのセメントやステンレスタンクを用いた醸造か、オーク樽でほんのりと樽の香りをつける手法とに分かれています。
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