サンセール ワインとは?ブドウ品種と味わいの特徴

サンセールはフランス中央部、サントルニヴェルネ地方のロワール川沿岸にある生産地域です。

特に上質な白ワインで有名で、日本のフレンチレストランなどでも多く扱われています。

昔からピノノワールと耐寒性の強いシャスラが植えられていましたが、フィロキセラによって壊滅状態に追いやられたのちに、シャスラはソーヴィニョンブランに植え替えられます。

(お隣のプイィフュメはシャスラは若干残り、これがプイィシュルロワールとなります)

 

元々1700ヘクタールあった畑は1893年には600ヘクタールに落ち込み、1960年代までは輸出に回す量はなく、ほとんどが国内消費で完了していました。

しかし、ソーヴィニヨンブランの品質の高さに徐々にマーケットが気付きだすとこれに力を入れるようになり、その後にいわゆるV字回復をするのです。

世界的な食のライト化も後押しして消費量は伸び、1980年代の日本のフレンチブームでもいち早く紹介されることとなります。

 

もっとも、日本ではその後、世界中から品質が高く価格の安いヴァラエタルワインが輸入されるようになり、現在は押され気味であることはその通りでしょう。

しかし、世界のソーヴィニヨンブランの味わいの基礎となるのは、やはりこことお隣のプイィフュメなのです。

ワインショップでは価格も2000円台からあり、酸味がさわやかでアペリティフにもよく、グラスワインとしても楽しめるワインです。

さっぱりした口当たりは日本料理にも合わせやすく、ワインと和食のマリアージュをお試しの時にも強くお勧めできます。

あまり知られていないのですが、サンセールの周辺は戦争の地として血にまみれた歴史があります。
 
地図を見てお分かりのとおり↑、サンセールは主要河川に面していて流通移動に優れ、また小高い丘があるため見通しがよく、これが軍事的に価値が高く重要拠点となるのです。
 
最初に目を付けたのはカエサルだとされ、その後に16世紀には宗教戦争の舞台となります。
 
皮肉なことに軍事的価値の高い立地だからこそ歴史は古く、現在では穏やかで伝統を感じる街並みになっているのです。
 
それを反映してか、ワイン造りも落ち着きがあり、派手ではありませんが安心して高品質な味わいを楽しめるものが多いです。

 

サンセールワインとは?

特徴

サンセールの一番の特徴はAOCで赤・白・ロゼのすべてが認められているところにあります。

対岸のプイイフュメは白のみですのでその対比としても出題されやすいのでしょう。

白ワインはきりっとした酸味のさわやかな辛口、赤・ロゼは控えめな渋みの飲み心地のいい味わいです。

それぞれのブドウ品種は以下の通りです。

白ワイン ソーヴィニョンブラン
赤ワイン ピノノワール
ロゼワイン ピノノワール

サンセールは各種の試験でもブドウ品種と認められる色は特に出題傾向が強く、ワインの存在感が光ります。

土壌は石灰岩質で、この土壌が火打石のようなミネラルの香りとクリスピーな口当たりを与えます。

 

1936年にAOCとして認められ、おおよそ85%が白で、15%が赤とロゼの割合です。

 

飲み方のコツ

サンセールの白は酸味がかわいらしく、かつ果実味がギュッと凝縮した味わいです。

そのためあまり高い温度で飲んでしまうと味わいがぼけてしまいますので、6~8度程度にきりっと冷やして飲みたいですね。

6~8度とは、冷蔵庫(4度だとして)に一晩おいておき、室温で15分ほどおくとちょうどそのあたりの温度になります。

ワインクーラーがあれば、氷を下に置き、水は入れずにボトルの下だけ冷やしておけば冷やしすぎずに楽しめます。

グラスは小ぶりなもので大丈夫ですが、できればチューリップ型か先がつぼまった形のグラスがいいでしょう。

小ぶりなグラスのほうが温度を調節しやすいので、逆にあまり大きなグラスはワインの性質上合いません。

 

合わせる料理

サンセールの地域はシェーブルチーズでも有名です。

シェーブルチーズは山羊のチーズで、クリーミーさが控えめで比較的さっぱりした口当たりです。

この味わいがサンセールのさわやかな酸味によく合うのです。

ただし、あまりにもチーズを熟成させてしまうとクセが強くなり、サンセールの風味が負けてしまいますので、購入して1週間以内の状態がいいかもしれません。

 

↑のチーズはクロタンドシャヴィニョルというチーズで、直訳すると山羊の糞という意味です。現在の日本ではとても採用できないネーミングでしょう。
 
その昔アンリ4世はこのチーズが好きで、一口食べて「フランス人が皆このチーズを食べたら戦争なんてなくなるのに」とつぶやいたと現地の人は主張しています。
 
もちろんこの話が本当かどうかはわかりませんが、このキャッチコピーを聞いて
 
「王様がそれだけ言うんだからおいしいチーズなんだろう」
 
と思う人もいれば、
 
「一国の王がなんてのんきなことを言っているんだ」
 
と思う人もいるでしょう。
 
このチーズをほめる人には前者を、そうでない人には後者の話をするのが大人というものでしょう。
 
一つの小話にどうぞ。

 

 

サンセールは日本料理とも相性がよく、素材の味を生かした魚介料理は特に喜ばれるマリアージュと言えます。

例えば青魚の塩焼きを思い浮かべてください。

皮目もパリッと焼きあがったサンマの塩焼きにはレモンを絞ってかぶりついたくなるでしょう。

このレモンの役割をサンセール白で補うのです。

新鮮な青魚が手に入った時は、クリスピーでピリッと引き締まったサンセールの酸味を思い出してみてはいかがでしょうか。




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