シノン ワインとは?特徴とブドウ品種、合わせる料理

シノンワインはフランス中央部、ロワール川沿岸のトゥーレーヌ地方で生産されます。

赤・白・ロゼが生産され、赤ワイン・ロゼワインはカベルネフラン、白ワインはシュナンブランを主体に造ります。

フランス・ルネサンスを代表する人文主義者であるフランソワ・ラブレーに愛されたワインとしても有名です。

似たタイプのワインにブルグイユがあって、この二つはロワールでも最上のものとして扱われています。

 

 

地元のワイン愛好家は、シノンはすみれ、ブルグイユはラズベリーの香りがするとほめています(日本でもこのくだりは有名)。

ただし実際のところ地元の専門家でもしょっちゅうこの二つを間違えていると、アレクシスリシーヌは著書でつぶやいていました。

これは、二つの違いを厳しく追及するよりは「こういうワインもあるんだ」とおおらかな気持ちで味わったほうがいいということでしょう。

日本料理にも合わせやすく、応用の利くワインです。ここで押さえておきましょう。

シノンのあるロワール川のトゥ―レーヌ地方は、ブロワ、アンボワーズ、シュノンソーなどの多くの名城が綺羅星のごとく並び、ロワールの観光の中心地と言っていいでしょう。
 
歴史的にもヴェルサイユにフランス宮廷が移るまでフランスの政治の中心であったところから、まさに古都で、ワインも華やかな歴史を持っていたのです。
 
しかしこれらの歴史的な穏やかで華やかなイメージとは裏腹に、トゥ―レーヌのワインはマーケットではいまひとつぱっとしません。
 
ジャーナリズム的に言えば無理してでも取り上げようというところにかけるのがその一因でしょう。
 
ボルドーやシャンパーニュやブルゴーニュ、イタリアやカリフォルニアのような新進気鋭の生産者はいるにはいますが総論としてはやはり少ないのです。
 
言葉は悪いのですが、カルトワインのように他者を押しのけてまで目立とうというところがなく、全体的に品がよく老舗感を感じる仕上がりが多いのかもしれません。 
 
では、だからといってシノンがたいしたことのないワインだといえば決してそうではありません。
 
伝統を感じる生産地域だけに生産者ごとの差が少なく、中には突出したワインを造っているところもあります。
 
評論家の評価が辛い地域なだけに知られていない上質な生産者も多く、その意味では他者に踊らされずに自分の舌で良し悪しを決めることができる上級者向けのワインと言えるでしょう。

 

シノン ワイン

ブドウ品種

赤ワイン、ロゼワインはカベルネフラン(CABERNET FRANC)種を主体に造ります。

カベルネソーヴィニヨンは10%までブレンドが認められています。

カベルネフランはこの地域ではブルトンとも呼ばれ、カベルネソーヴィニョンに比べて青っぽいピーマンのような香りが強く、大衆的な飲みやすいワインから高級ワインまで生産されます。

白ワインはシュナンブラン(CHENIN BLANC)種です。

赤・白・ロゼが生産され、ほとんどは赤ワインですが、同エリアのブルグイユ(BOURGEUILLE)は赤・ロゼのみで白ワインはありません。

ひっかけ問題として出題されますので注意しましょう。

赤ワイン カベルネフラン
ロゼワイン カベルネフラン
白ワイン シュナンブラン

カベルネフランはカベルネソーヴィニヨンの突然変異型と考えられていますが、カベルネソーヴィニヨンと比べるとロワールにおいてはいくつかの優位性が認められています。
 
まず、ソーヴィニヨンに比べると発芽と成熟が早いので、1週間以上早く収穫できます。
 
そのため収穫期の雨などの悪天候のリスクを軽減することが可能です。
 
さらに比較的寒い気候でも適応し、果実がよく熟し、さらにベト病などの被害も少ないことがあげられます。

 

フランがこの地で栽培されるようになったのはいくつかの説がありますが、有力なものは有名な三銃士にでてくるリシュリュー宰相がトゥ―レーヌの財務担当官にボルドーから良いブドウを持ってこさせたという説が有力です。
 
この担当者が神父ブルトンと呼ばれていたので地元ではフランをブルトンと呼んでいるといわれています。
 
もっとも、これにははっきりした歴史的な根拠に乏しく、伝説レベルの話としてきいておくのがいいかもしれません。

知られているワインですがシノンの栽培面積はさほど広くありません。

それでも栽培面積約は2300ヘクタールで生産量は約11万ヘクトリットルですのでちょっとした量であります。

地質的に複雑で、土壌も大きく分けると三つに分かれています。

・ヴィエンヌ河右岸沿いの丘陵地域→中生代白亜紀のテュフォー土壌↓

・小さな丘や大地→中生代白亜紀の粘土土壌

・ヴィエンヌ河沿いの沖積土の段丘→新生代第4期に作られた砂利交じりの砂土

このように説明されてもよくわからないというのが普通の感覚で、煎じ詰めればシノンの土壌は複雑で、部分的にシャンパーニュのような白い粘土層の土壌なんだと理解すれば問題ないでしょう。

カベルネフランはここ以外でもサンテミリオンを含めて世界中で目立たない程度に栽培されています。

しかしこの白い土壌との組み合わせは珍しく、これがシノンのワインの特殊性を生んでいるのです。

 

飲み方のコツ

シノンの赤は上質なワインではありますが一般的には渋みやボディは強くありません。

(ただし生産者によっては凝縮感のあるワインを造っていますので、この場合は適宜変更してください)

温度が上がりすぎると味わいがぼけてしまう可能性がありますので、赤ワインではありますが14~16度程度に温度を調整して飲むのがベストでしょう。

 

ちなみに、ご家庭では14~16度の温度を保つのは結構大変かもしれません。

春から秋にかけては水道水に氷を少し入れて温度を調整して、その中にボトルを入れることで調整が可能です。

 

また、生産者によってはnon filtreノンフィルトレといって、フィルターを通さずに瓶詰めするところもあります。

この場合はオリが沈殿していることもありますのでデカンタージュをしていただきましょう。

グラスの形は大ぶりでなくていいので、ふっくらとして先がつぼまったグラスであれなたいてい合わせられると思います。

 

合わせる料理

この地域はリヨン(RILLON)といって、豚バラ肉のコンフィの料理が有名です。

リヨンというと地名を思い浮かべるかもしれませんが、地名のリヨンは(LYON)とつづります。

豚バラ肉のうまみと脂ののり具合がシノンの赤によく合うとされています。

実際に豚肉は白身のお肉で牛肉やジビエよりはマイルドな味わいなのでシノンくらいのボディのワインが合わせやすいでしょう。

赤のシノンワインとの相性では、豚肉料理全般に相性が良く、渋みが強すぎないので繊細な日本料理とも合わせやすいといえます。




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