芸能人格付けチェック2019年!ワインはムートン1959年

 

毎年恒例のテレビ朝日系元旦放送の「芸能人格付けチェック!」。

日々一流品と接しているとされる芸能人が、目隠しでワイン、音楽、芸術などのそれぞれの本当の一流品と普及品を見分けるものです。

 

この記事は2019年1月1日放映のものです。

 

その中でもワインは毎年”超”のつく高級品と日常的なワインの対比が面白く、ユーザーを楽しませています。

そして目玉の2019年の一流ワインはシャトームートンロートシルト1959年です。

 

 

芸能人格付けチェック 2019年!

ワインの見極めとは?

ワインのコーナーでは、毎年真の一流ワインと家庭でも楽しめる価格帯のワインを、どちらがどちらかを見極めます。

ワインは色、香り、味わいで判断しますので、ワインが注がれたグラスだけが目の前に並び、それをテイスティングします。

一流ワインではないほうのワインはフランス ボルドー産のワイン一本5000円程度です。

超高級ワインと比べるとかすんでしまいますが、5000円は十分に楽しめる価格帯でしょう。

 

 

これまでの出題ワイン

ちなみに去年までの出題ワインは以下のとおりです。

2018年(赤ワイン)

シャトーペトリュス

フランス産テーブルワイン(5,000円)

 

2017年(赤ワイン)

シャトーオーブリオン(1928年)

テーブルワイン(5,000円)

 

2016年(赤ワイン)

シャトーラフィットロートシルト(1923年)

テーブルワイン(5,000円)

 

2015年(白ワイン)

モンラッシェ/ドメーヌドラロマネコンティ(DRC) 2004年

カリフォルニア産のテーブルワイン(5,000円)

 

2014年(赤ワイン)

ラターシュ/ドメーヌドラロマネコンティ(DRC) 2005年

アメリカ産のテーブルワイン(5,000円)

 

2013年(赤ワイン)

シャトーラトゥール 1949年

カリフォルニア産のテーブルワイン(3,000円)

 

2012年(赤ワイン)

ヴォーヌロマネ1級「クロパラントゥー」/アンリジャイエ 1994年

オーストラリア産のテーブルワイン(3,000円)

 

2011年(白ワイン)

モンラッシェ/ドメーヌドラロマネコンティ(DRC)2000年

アメリカ産のテーブルワイン(5,000円)

 

2010年(赤ワイン)

シャトーペトリュス 1990年

アメリカ産のテーブルワイン(5,000円)

 

これまでの流れを見ますとボルドーとブルゴーニュに絞られていて、もちろんテレビとはいえやらせではなく、本当の一流ワインです。

毎年おおよそ60~100万円のワインが出題されています。

 

シャトームートンロートシルト1959年とは?


では、肝心の2019年格付けチェックの出題ワインを検討してみましょう。

シャトームートンロートシルトはフランス、ボルドーのポイヤック村の格付け1級ワインです。

 

ブドウ品種はカベルネソーヴィニヨンが8割、メルローとカベルネフランがそれぞれ1割、若干のプティヴェルドがブレンドされますが、おおよそ先の3品種で占められています。

一番上の画像はムートンロートシルトの1959年もののラベルです。

ムートンは毎年高名な芸術家にラベルの絵画を依頼していて、1959年の作者はドイツ出身のアメリカ人の彫刻家、リチャード リッポルドです。

 

ムートンロートシルトはいわゆる5大シャトーのひとつで、

シャトーマルゴー

シャトーラフィットロートシルト

シャトーラトゥール

シャトーオーブリオン

これにムートンロートシルトを加えて「5大シャトー」と呼ばれています。

 

1959年ヴィンテージは偉大なヴィンテージと呼ばれる1982年と張る最良の年で、ムートンロートシルトの歴史でも輝かしい品質です。

パーカーポイントも100点満点のワインとして知られていて、間違いなく一流ワイン中の一流ワインです。

 

 

一本百万円は高すぎ?

これまでの出題ワインとキャッチコピーを見ると、やや価格の部分を大げさに表現しているようにも思えます。

そのため

「確かにいいワインだけどムートンが100万円?」

と思う人もいるでしょう。

 

確かにムートンロートシルト1959年は素晴らしいワインなのですが、ムートンが一本100万円はさすがに大げさかもしれません。

 

しかし、流通価格はほとんど不開示で、ネット上でも見つけるのが困難でしょう。

値付けがされていてもおそらくほとんどが品切れだと思います。

要するにすでに消費されてしまったか、誰も売らないか、あるいは価格をつけることができないほどの品薄なのです。

そのため100万円と言われれば不思議ではありませんが、とはいえ、見つければもう少し安い値段で提供することも可能でしょう。

 

もっとも、この説明は「レストランで飲めば」の注釈付きです。

レストランではおおよそ2倍から3倍の値付けで販売しますので、その意味では100万円では安いくらいと言えるでしょう。

 

すでに50年ほど前の収穫年ですし、むりやりお金で譲ってもらう金額をつけるとすれば100万円、という意味合いにとらえましょう。

 

YOSHIKIさんが悩む?

番組の番宣動画ではミュージシャンのYOSHIKIさんが「難しい」と悩んでいる姿が映っています(ユーチューブの動画は削除されました)。

ムートンと5000円のワインではさすがに全く違うのでは→簡単に見破れるだろう、とお考えのユーザーは多いでしょう。

 

しかし、実際にテイスティングをする側となるとこうはいきません。

これにはいくつか理由がありますが、

①まず1959年物のボルドーの5大シャトーはほとんど入手が困難なのでどんなお金持ちでもそう頻繁にいただくことはありません。

 

②つぎに、いくらムートンは長命とはいっても1959年はすでにピークアウトをしているので、YOSHIKIさんが普段飲んでいるボルドーのワインとは風味が違って当然です。

 

③そして、対比するワインが一本5000円とは言っても、最近はこのレンジのワインは大変に品質が高く、見つけようと思えばボルドーの上物のワインと見分けのつかないようなものもあるのです。

 

また、これはややネガティブな表現ですが、おそらくこのワインは番組で撮影用に購入したと思うのですが、どこまで慎重に扱ったかをやや厳しく見ることもできるでしょう。

このクラスのヴィンテージワインであれば取り扱いがかなり難しく、購入からテレビで撮影するまでの間に品質が劣化する可能性があるのです。

テレビの撮影そのものは流れ作業のように淡々と進みますが、その準備にはものすごい長い時間をかけます。

ムートンロートシルトであればおそらく多くのスタッフが触れたくなるのが人情でしょう。そして振動が伝わってしまうのです。

多くの人の手をわたりますのでワインに理解がない人の手に渡れば取り扱いも乱暴になる可能性も否定できませんし、環境的にもスタジオは強烈な光なので決していいとは言えません。

また、おそらくオリがあるのでデカンタージュをしたでしょうから、急激に酸素に触れた結果、各参加者に順番が回ってくる前に風味が変化してしまうことも可能性としてはあるでしょう。

 

 

実際の芸能人の正解、不正解は?

中村雅俊さん

「ワインは任せてください。結構若い時から飲んでいます。」

と豪語します。

いきなりグラスの上の部分を持ちます。

つまりワインの飲み方としてはいきなりセオリーを無視してしまうのです。

これにはいろいろ見方がありますが、セオリーを超えるほどワインを飲んだという自信の表れかもしれないし、全くワインに親しくないのかもしれません。

もちろん、これは本人にしかわからないことでしょう。

よく見るとAのグラスはかなり茶色がかっていることがわかります。

ただしBのグラスもかなり茶色がかっています。

(これがポイント→一本5000円で、かつ茶色がかったボルドーは価格から言ってあまりありません。ひょっとしたら同じボルドーでもサンテミリオンかもしれません)。

 

 

 

そしてBのグラスを口に含むと「ん」とひとこと。

そして結論はB(不正解)とします。

色の濃さがBのほうが濃いし、酸味もBが濃い、とのことです。

多少なりともワインを飲んでいれば、色が濃くて酸味も強いものが、1959年物のワインではないことはわかるものでしょう。

つまり、中村雅俊さんはあまりワインに詳しくないのでは?、と仮説が立てられます。

 

大地真央さん

一言めから「ムートンでしょ?あ、大丈夫です。」

と自信たっぷり(これはもちろん半分演技でしょう)。

グラスの持ち方はさすが女優。持ち方もそのシルエットもきれいです。

Aのグラスを口に含んだ時、おそらく「これが正解だ」と思ったはずです。

ただしBのグラスを飲むと不安そうな表情をします。

そして結論大地真央さんの回答はA(正解)。

やや鼻につく言い方をすれば、大地真央さんくらいの方であればおそらくムートンを飲む機会は相当あるはずです。

Aを飲んで自信をもつけど、さすがにBもそれなりのワインでしょうから、やや表情が曇ったのでしょう。

ここで回答はいきなり割れます。

 

観月ありささん

ご本人は若いころから女優として売れています。

これだけ売れていれば一般人とは環境が違って当たり前でしょう。高級ワインも相当飲んだはずです。

観月ありささんに番がまわると「ワインには絶対の自信あり」との表情をします。

本人には失礼ですが、グラスの持ち方はあまり上手とは言えません。若干の違和感を感じました。ふりでしょうか?

ただし口に含むときの表情は慣れています。

Bのグラスの香りをかぐと「なるほど」とつぶやき、題目の難しさを感じた様子です。

つまり、題目の真意を感じ取るほどのレベルのワインの経験値がある、という仮説が立てられます。

かなり悩んだ様子ですが、結論はA(正解)でした。大地真央さんと同じです。

 

ここで視聴者にも正解が発表されます。

正解はA(正解)。

やはり色調の茶色の強さでわかりますね・・・。

おそらくこのページは製作者側も読むことがあるでしょうからあえて書きますが、もうすこしBのワインを検討しないと盛り上がりに欠けるかもしれません。

ワイン好きにはテレビ越しの外観で判断できてしまうレベルの問題です。

 

YOSHIKIさん

ここで真打の登場です。

「自分でも造っているくらいなので・・・」と豪語。

 

Aのグラスを口に含みますが、前回と違い自信のある表情ではありません。

そしてBのグラスを飲むと首を傾げ、にやりと「え、むずかしい」のひとこと。

ここで画面はストップします。

 

志村けんさん

「安いほうが口に合う」

といきなり弱腰です。

もっとも、志村さんであれば高級ワインを飲む機会は無数にあるでしょうから、これは謙遜か、あるいは高級ワインも知っているけど安いほうがいいという絶対の自信でしょう。

Aを飲むと「進んでいるな」と一言。これは熟成の進み具合をいっているのでしょう。

つまり、そうとうワインを飲んでいるということです。

グラスの持ち方はさほど慣れているようには見えませんが、このコメントをいえるのは相当飲んでいると思いますので、参考にはなりません。

Bのほうが香りが強いといいます(これが正解のポイント)

そしてBのグラスを飲むと「かなり違うな」とつぶやきます。

そして結論はA(正解)。

ご本人はかなり謙虚に映っていらっしゃいますが、見抜く人は見抜きます。

私にはかなりのワイン通と見えました。

 

 

間宮しょうたろうさん

Aのグラスで「かなり香りが強い、味が濃い」と一言。

Bのグラスで無言となり、結論をA(正解)とします。

「ものすごい銘柄として残っている歴史みたいなものを感じる」

とコメント。

 

八嶋智人さん

ワインバーを経営しようかと思っているらしいです・・・。もちろん冗談でしょう。

グラスの持ち方は慣れている様子です。

Aを飲むと「まあいいでしょう」の一言。

Bを飲む同様に「いいでしょう」のみ。

そして結論はB(不正解)。

 

けやき坂46のお二人

20歳になったばかりなので、ワインを飲んだことがない・・・。当たり前でしょう・・・というか知らないほうが普通です。

グラスの持ち方はさすが芸能人、慣れている様子です。

意地悪な見方をすれば20歳の女性にしてはワイングラスを持ちなれていて、私には逆に違和感を感じます。

Aを飲むと無言に・・・。

Bをのむと「味は違うのはわかる」の一言。

そして結論はA(正解)。

 

ここで回答者にも結果発表です。

 

もちろんどちらの部屋とも不安そうな表情です。

そしてAの正解が告げられると、Aを選んだ芸能人は大喜びです。

 

そしてYOSHIKIさんは・・・?

不安な表情を浮かべていましたが、どうでしたでしょうか。

 

 

やはりAを選び、ワイン通ぶりを示します。

「ちょっと揺らいだ」

「Bのワインもおいしかった」とつぶやきます。

 

そして、

「1850年ころは2級ワインだったのですが、1級に這い上がってきたワインで、それに執念を感じます。」

「これは完全に深みが違います。ストーリーが違います。」

のコメント・・・。

 

短い時間で表現しなければならないテレビ収録では、これは完璧でしょう。

 

私は様々なワイン通を見てきましたが、このコメントには脱帽です。

このコメント通り、ムートンは1855年に格付け2級にされますが、1級に昇級したのは100年以上たった1973年だったのです。

普通ワインのコメントには「執念」「這い上がる」のような泥臭い言葉は用いませんが、そこをあえて使うところがワインへの深い理解と人間心理の洞察力を感じます。

ボルドーのワイン界は世界でももっとも閉鎖的で保守の権化のような村社会です。

そのなかで唯一格付けを変えさせるのは「執念をもって這い上がった」以外の何物でもありません。

YOSHIKIさんの静かな物腰の口調にすべてを詰め込んだ名セリフでしょう。




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