キャンティ クラシコとは?特徴とブドウ品種、合わせる料理

キャンティ・クラシコ(CHIANTI CLASSICO)は、イタリアのトスカーナ州で生産されるDOCGワインです。

広域のDOCGであるキャンティよりも限定されたエリアで造られ、品質が良く、世界中から愛されています。

 

キャンティクラシコとキャンティは区別があいまいで、なによりもユーザーにとってわかりにくい区分けです。

そのため並質のキャンティにキャンティクラシコが足を引っ張られていると考えている生産者が少なくありませんでした。

 

キャンティが1984年にDOCからDOCGへと格上げされ、その後にキャンティ・クラシコが独立したDOCGの認定を受けたのは1996年のことになります。

この流れはそういった生産者の声を反映してのものです。

【動画でも解説しています】

 

代表的な生産者に、

Badia a Coltibuono、Barone Ricasoli、Castellare di Castellina、Castello di Ama、Fontodi,Felcina,Castello di Volpaia,
Marchesi Antinori,San Giusto a Rentennano,Rocca Delle Macie

等があります。

 

しつこいですが、ここさえ押さえれば何とかなるというところで、

まずは、”キャンティ”と”キャンティクラシコ”は性質の違うもので、品質で言えば別物ととらえていいでしょう。

その上で、

キャンティ(広域の産地)→1984年にDOCGになる。基本的にはサンジョベーゼ主体の並質のワイン。

キャンティクラシコ(キャンティよりも限定の産地)→1996年にDOCGになる。飲みごたえがあって国際的にも評価が高い。こちらもサンジョベーゼ主体。

キャンティクラシコ リゼルバ→一般的なキャンティクラシコをさらに長い期間の熟成させたもので、そのため酒質に厚みがあって上質です。

ここだけは押さえたうえで読み進めるのがよろしいかと思います。

キャンティクラシコ

キャンティとキャンティクラシコはどう違うの?

キャンティとキャンティクラシコの違いは多数ありますが、煎じ詰めれば品質が全く違い、並質のキャンティと上質のキャンティクラシコというのが決定的な違いです。

日本ではキャンティというとがぶ飲みワインの代名詞のようなイメージがありますが、これはいわゆる「イタ飯ブーム」の名残でしょう。

 

 

1990年代に日本で空前のイタリア料理ブームが起こりました。

それまで西洋料理の専門料理はフレンチ一本で、重厚な雰囲気で価格も高く、味わいも濃厚な料理が多かったのですが、ここにイタリア料理がさっそうと登場します。

 

動物性のバターではなくオリーブオイル主体、軽くて健康的なイメージがあり、もともと麺文化がなじんでいた日本でイタリアンは一気に市民権を得ます。

そこでイタリア料理に合わせるべく紹介されたのがキャンティだったのですが、フレンチとの相対評価の結果、イタリアンは「親しみやすくリーズナブル」がそのイメージで、これに割りをくったのがワイン生産者だったのです。

イタリア料理店では安ワインがならび、当初紹介されたキャンティは必ずしも品質が高いとは言えないものも多く、「キャンティ=並質なワイン」のイメージだったのです。

色合いも薄く、品種の個性も乏しく、現在で言えば料理用ワインのようなキャンティを覚えている方もおおいかもしれません(これは現在でもある)。

 

しかし一方でキャンティクラシコはこのイメージとは全く違い、色が濃く、香りが豊潤で世界に誇るべき品質を持つワインなのです。

このように紹介するとキャンティが悪者のようにも見えてきますが、それだけイタ飯ブームのころの「キャンティ=安ワイン」のイメージは強烈で、さすがにこのままではキャンティクラシコが可哀そうでしょう。

値段を優先させればキャンティのほうが良いかもしれませんが、サンジョベーゼの味わいを確認したい、品質の良いワインを飲みたいという場合は迷わずキャンティクラシコをお勧めします。

 

意見の対立

キャンティクラシコの生産者には意見の対立がいくつもあって、おもにブドウ品種と木樽の使い方が議論の的となります。

まずは、木樽の使い方の意見の対立をみてみましょう。

 

醸造、熟成はもともと地元産の栗の木かクロアチア産のオーク材の大樽が伝統的に使われてきました。

これによってサンジョベーゼの個性を生かし、じっくりと熟成させるタイプのキャンティクラシコが造られていたのです。

 

しかし、新しいスタイルのキャンティクラシコには国際的なマーケットに応えるべくバリック熟成をさせる生産者も現れ、1990年代にこれらが高い評価を得るようになると対立は激化するのです。

この対立は生産者だけでなくユーザーにも飛び火して「キャンティクラシコ論」はしばしば雑誌などで取り上げられていました。

1990年代はあからさまな樽熟成の香りが評価される傾向にあって、これでは何を飲んでも同じということにもなりかねません。

ユーザー層の成熟とともに近年は新しいスタイルの生産者も樽の香りを押さえ、果実の風味を生かしたエレガントなスタイルへの振り戻しの時代だといえます。

 

ブドウの品種

キャンティクラシコは現在、サンジョベーゼが80~100%、補助品種(いわゆる国際品種)が20%まで認められています。

(一方のキャンティはサンジョベーゼは70~100%、補助品種は15%まで、白ブドウのブレンドが10%まで)

ブドウ品種の意見の対立は、大きく分けると

「海外のマーケットに対応するべく国際品種をもっと取り入れるべきだ」

という意見と

「キャンティクラシコらしさはサンジョベーゼなんだから国際品種は必要ないじゃないか」

というものです。どちらも間違いではないのでユーザー様はお好きな理屈で構いません。

 

1996年にキャンティクラシコがキャンティから独立したDOCGとして認められると、それまでは認められていなかった100%サンジョベーゼで造ることがまずは認めらます。

また、その一方で国際品種のパーセンテージは最大15%まで引き上げられ(2000年に20%に引き上げられる)、国際派と伝統派の折衷案としてまとまるのです。

そして2006年にはそれまで6%まで認められていた白ブドウのブレンドが、キャンティクラシコにおいては完全に禁止されることとなったのです。

 

熟成期間にも規定があり、最低11カ月の樽熟成が必要となっています。

キャンティ・クラシコのリゼルヴァの場合は24カ月の樽熟成と、瓶内で3カ月の熟成が規定されていて、リリース後は10年以上の熟成に耐えられます。

 

 

ユーザーとしてはおいしければどちらでもいいので好きなほうを楽しめばいいのですが、酒造りの親爺さんにはこれが大問題なのです。

キャンティクラシコの古いスタイルの生産者は世界のトレンドなんて馬耳東風、そしてそういうワインこそ滅法うまいのです。

新しい世代の生産者はマーケティングの理論も備え、評価も高いのでどうしてもそちらに注目が集まりがちですが、時には昔ながらのやりかたを続ける生産者のキャンティクラシコを飲んでみてはいかがでしょうか。
ユーザー様には同じキャンティクラシコでもスタイルの違いがあるんだととらえていただければ、より一層ワインが味わい深くなるでしょう。

 

キャンティ・クラシコの特徴

キャンティ・クラシコは深く濃いルビー色をした、複雑味と力強さの中に柔らかく優しいアロマも感じられるのが魅力です。

大きく分けて2つのタイプとなり、1つはリッチな果実の感じられるタンニンを感じられる現代的な味わいとなります。

一方は、古典的な優しい果実味と酸味のあるタイプのものです。

酸味と果実味のバランスが取れた、滑らかなタンニンを楽しめる辛口赤ワインとなります。

ベリー系やハーブ、またシナモンなどのアロマが特徴で、端正な深い味わいとなります。

二つのタイプともスパイスの香りが豊潤ですが、これはキャンティクラシコのブドウ品種であるサンジョベーゼの特徴です。

 

 

飲み方のコツ

キャンティクラシコは凝縮感があり、酸味や渋味の強い個性を持つワインです。

そのため温度も16~18度にして徐々に温度が上がることによって変化する香りを楽しみたいですね。

グラスは中ぶりなもので構いませんが、キャンティクラシコリゼルバの一部の生産者は非常に優れたワインですので、この場合は大ぶりなグラスを用いましょう。

形状は先がつぼまったグラスであればこだわらなくてもいいでしょう。

↑の写真のように極端なチューリップグラスも楽しいです。

 

10年以上熟成させたキャンティクラシコはオリが沈殿していることがあります。

この場合はデカンタージュをして20分ほど待つことでより一層おいしさを感じられるでしょう。

 

 

相性の良い料理


キャンティ・クラシコは赤ワインなので、必然的に肉料理との相性が良くなっています。

キャンティ・クラシコの綺麗な酸は、トマトの酸味とのマリアージュが良いのでトマトでの煮込み料理などが非常に美味しく楽しめます。

さらにリゼルバクラスは、Tボーンステーキとの相性は考えただけで最高のマリアージュと感じるでしょう。

炭火で焼き揚げた豪快なTボーンを口にすると、牛の脂と肉質に加えて炭火の香りが口いっぱいに広がります。

それをキャンティクラシコリゼルバの渋みと果実味が口をさっぱりとさせ、また一口お肉がすすむのです。




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