シャトー タルボ(CAHTEAU TALBOT)はサンジュリアンに位置し、メドック4級に格付けされているシャトーです。
セカンド ワインは、コネタブル ド タルボです。
カイユ ブラン デュ シャトー タルボという名前で白ワインもリリースしており、高い評価を得ています。
4級に格付けされていますが、ラベルのデザインがあまりにもキャッチーで覚えやすく、まとまりすぎているせいかいまいち高級感にかけていて損している気がします。
実際のワインは4級をしのぐと言われていて、日本のワインショップでも見かけることが多いのでぜひ試していただきたいシャトーの一つです。
このシャトーはもともとオーナーの個人的な趣味で造り始めたワインがその発祥といわれています。
オーナーの知り合いに飲ませたらことのほか受けがよく、事の成り行きで世に出してしまえということになったのでしょう。
ただし実際には造り始めからしばらくのあいだ、タルボの評価はパッとしませんでした。
酒造りの親爺から「どうだうまいだろう」と飲まされた側は率直な意見が言えるわけがありません。きっと玉虫色の意見を伝えたのでしょう。
そしてその出色の部分を引き合いに出してシャトーオーナーはその気になったのです。
現在このシャトーはトップ中のトップのワインを造っているので、ことの成り行きも悪くはないというお手本でしょう。
シャトータルボ
サンジュリアントップのワイン
所有する畑は100ha超あり、サンジュリアンで2番目に大きい面積を誇ります。
サンジュリアンでも標高が高い位置に畑を所有しており、表土は砂利質で、底土は化石が多く含まれた石灰質です。
作付面積はカベルネ ソーヴィニヨン66%、メルロ26%、プティ ヴェルド5%、カベルネ フラン3%です。
白ブドウは5ha栽培されており、ソーヴィニヨンブラン80%、セミヨン20%です。
すべて手摘みで厳選し収穫しています。
発酵では、ステンレスタンクと、木製の発酵槽を併用しています。
新樽比率は50%で、フレンチオークを使用し、12~14カ月熟成させています。
この後に紹介するタルボ将軍との関係性で若干がっかりする人はいるかもしれませんが、実際のワインはサンジュリアンはもちろんメドックを代表する品質と言っていいワインです。
化学肥料は一切使わず、収穫はサンジュリアンでは最も遅いほうでしっかりとワインと向き合って造られているのです。
タルボ将軍のシャトー?
このシャトーはもともと英国で大変な人気があります。
英国で国民的英雄であるタルボ将軍(トゥールボット将軍)のワインだと思い込まれているのがその理由なのでしょう。
タルボ将軍の人気はすさまじく、1453年の戦いで敗れるときにあのシャトーラトゥール↑のラベルにある城壁にこもったという伝説が残るほどなのです。
(ただしこれは完全なデマで、タルボ将軍が最後に戦ったのはカスティヨンで、こちらのワインはぱっとしない)
また、将軍はここで戦死したと思っている人も多いのですが、それも違いますし(実際はカスティヨン)、将軍の隠し財産をシャトータルボの畑に埋めたという逸話もありますが、これも今のところ発見されていません。
本当にシャトータルボの畑に財産を埋めたのであればそこらじゅう穴ぼこだらけでしょうが、財宝泥棒に荒らされた形跡すらないのです。
色々調べてもタルボ将軍とこのシャトーには何の関係もないというのが実際のところでしょう。
余談ですが、↑の画像は有名なシェイクスピアの「ヘンリー6世」の一幕で、ジャンヌダルク(左)とタルボ将軍(右)がオルレアンの戦いで一騎打ちするワンシーンです。
ジャンヌダルクはこの戦いに勝ち、それまで優勢だった英国軍は形勢が悪くなって徐々に敗退し、タルボ将軍はボルドーに流れて最後の守戦場にするのです。
これを見て
「シャトータルボはすごい歴史を背負ったワインなんだ」
と思った人には申し訳ないのですが、敵国軍の大将同士が直接対決するなんてことはありません。私だったらそんな大将は絶対にいやです。
これは要するに時系列とか史実とかをお構いなしに客が喜びそうな場面を作ったのであって、これが印象的に仕上がっているのでしょう。
ただし見る人から見ればこのシーンがより一層このワインをおいしくさせているのかもしれません。
それはそれで悪いことではありませんので、そっとしておくのが大人というものでしょう。
ワイナリーの歴史
15世紀のイギリス統治時代に、サンジュリアンのここ一帯はタルボ将軍が治めていました。これが名前の由来です。
(ただし治めているといっても将軍管轄の行政区画の意味合いです)
タルボ将軍は100年戦争の末期に、カスティヨンの戦いで戦死します。
しかしイギリス人にとってタルボ将軍は英雄ともいえる人物であり、その名前がシャトー名にもなっています。
その後様々な所有者へと代わり、1917年にはボルドーの巨大ネゴシアンである、名門コルディエ家の所有となります。
1930年代には、ジョルジュ コルディエ氏が畑の一部を白ブドウに変え、白ワインを生産し始めました。
2007年からコンサルタントして、ステファン ドゥルノンクール氏とエリック ボワスノ氏を登用し、品質向上に努めています。
現在のオーナーは、ロレーヌ リュストマン コルディエ氏と、ナンシー ビニョン コルディエ女史です。
このシャトーは堅実なつくりがその特徴で、どのヴィンテージも安定して高品質なものが多く、もしまた格付けが行われたらきっと昇格するであろうと言われています。
その安定感から、ボルドーワイン愛好家の高い評価を得ています。
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