カルヴァドスとは?特徴とその原材料

カルヴァドス(CALVADOS)は、ブドウからではなくリンゴを原料としたブランデーです。

フランス北西部のノルマンディー地方で作られています。

そのブランデーの中心産地であった地名がカルヴァドスであり、19世紀初頭からカルヴァドスと呼ばれています。

第一次世界大戦後ころから知名度が高まり、現在では世界中で親しまれています。

 

カルヴァドスは、収穫したリンゴを搾汁して発酵を行い、シードルを作ります。

そのシードルを蒸留し、主にリムーザン産やトロンセ産のオーク樽で熟成を行い、生産されています。

熟成ではリンゴの香りが繊細であるため、基本的に新樽は使用せずに古樽で熟成を行います。これがカルヴァドスです。

リンゴのブランデーは、アメリカではアップルジャックと呼ばれており、フランスの他の地区ではオードヴィー ド シードルと呼ばれています。

フランスではノルマンディー地方を中心に、ブルターニュやメーヌなどの各地方でも生産されています。

 

カルヴァドス

生産地域


フランス北西部にあるノルマンディー地方に、カルヴァドスの生産地はあります。

カルヴァドスでは3つのAOCが認定されており、最も高品質とされている地区は、アルカリ性土壌の限定地区であるペイドージュ地区です。

ペイ ドージュ地区は、カルヴァドス、オルヌ、ユール県が含まれており、川と小川が十字に交差する高原で、自然があふれている地区です。

この地区のものを使用し、単式蒸留機で2回蒸留、熟成は2年以上などの規定をクリアしたものは、カルヴァドス デュ ペイ ドージュ(CALVADOS DU PAYS D’AUGE)と名乗ることが出来ます。

カルヴァドス ドンフロンテは指定区域内で作られ、30%以上ポワール(洋梨のブランデー)を混ぜることが規定されています。

ドンフロンテはオルヌ、マンシュ、マイエンヌ県が含まれています。半連続式蒸留機を使用し、熟成は3年以上が規定されています。

 

上記2地区を囲むようにしてあるAOCがカルヴァドスで、上記2地区のものをブレンドすることも認められており、熟成は2年以上と規定されています。

 

原材料

ノルマンディー地方は、リンゴの栽培に非常に適した環境であり、古くから様々なリンゴが栽培されています。

カルヴァドスに使用されるリンゴは、デュレ、サンマルタン、サントーバンなど48種類が認められています。

洋梨は、ポワール グリーズなど数種類が認められています。

使用するリンゴは、ドゥス(甘味)、ドゥス アメール(甘味・苦味)、アメール(苦味)、アシデュール(酸味)という4つのグループに分けることができます。

 

ドゥスのリンゴはタンニンが少ないですが、アルコール度数の元になる糖分を備えています。

アメールのリンゴは、糖分は少ないですがタンニンが多く、ボディーの厚いシードルを作ることが出来ます。

アシデュールのリンゴは、シードルの味わいにシャープな印象をもたらすことが出来ます。

 

それぞれのリンゴの使用比率によって、発酵後のシードルの品質に影響を与えます。

シードルの品質は、蒸留後の品質に直結するため、使用するリンゴの選択はとても重要なポイントになっています。

 

等級と熟成による呼称

オードヴィー ド シードルの場合、熟成を行う必要はありませんが、カルヴァドスの場合最低2年以上の熟成が必要とされています。

カルヴァドスの熟成年数の基準として、コニャックやアルマニャックと同様に、コントという単位が使用されています。

コントとは、蒸留が終了した4月1日から翌年の3月31日までをコント0とし、蒸留後の翌年の4月1日から翌々年の3月31日までをコント1として加算していきます。

 

コント数によってラベルに様々な等級を表記することが出来ます。

コント2以上のものはトロワ ゼトワールまたはトロワ ポム。

コント3以上のものは、ヴュー レゼルヴ。

コント4以上のものはVO、ヴィエイユ レゼルヴ。

コント5以上のものはVSOP。

コント6以上のものはナポレオン、エクストラ、オール ダージュと表記することが出来ます。

 

VOはベリ ーオールド、VSOPはベリー スペリオーレ オールド ペールの略です。