ワインの飲み方|最初の一歩を間違えないためのガイド

おそらくあなたはこれからワインを飲もうとして、「どうすればよりおいしく飲めるか」を調べているのかもしれません。

あるいは、「ワインをもらったけど、どう飲んでいいかわからない」と思案しているかもしれませんし、どこから手を付けていいかわからない人もいるでしょう。

結論から言えばワインはし好品なのでどのように楽しんでもいいし、マナーも堅苦しくはありませんので決まりを無視して自己流で楽しんでもらっても大丈夫です。

しかし、実際のところは「ビールは冷やして飲んだほうがおいしい」というレベルのおいしく飲むコツというものはあって、これを知ることでワインは何倍にも価値をあげることができる飲み物なのです。

逆に言えば、どれだけ高価なワインも飲み方ひとつで価値が台無しになってしまったり、最悪な場合二度とワインを飲みたくないという印象を持ってしまうこともあり得ます。

 

かくいう私も最初のころはワインの正しい飲み方を徹底しないで飲んでいたころがあり、本来であればもっと価値のあるワインライフを送ることができたにもかかわらず、なんてもったいないことをしたんだと後悔したことがあります。

ここでは、あなたが私と同じような失敗をおかさないよう、あるいはすでにおいしいワインの飲み方を知っている人にはさらにワインを奥深く楽しめるよう、「ここさえ押さえれば大丈夫」というポイントに絞ってご紹介をします。

 

私は23歳のころにソムリエの資格を取得し、30歳のころにとあるソムリエコンテストで全国優勝をします。

このようにご紹介すると「なんだ、ワインのスペシャリストじゃないか」と思われるかもしれません。

しかし当時の私はコンクールの筆記試験で1番を取るためにコンピューターのように知識を詰め込み、ワインを楽しむことを無視した経緯があります。

その失敗をもとに、あなたが一本のワインを最大限楽しめるよう説明します。

是非お付き合いください。

 

ワインの飲み方とマナー

マナーについて

ここまではしなくても・・・

ワインを楽しむうえで、マナーに関しては楽しむポイントに比べれば微々たるポイントしかありません。

もちろん詳しく突き詰めれば色々決まりはありますが、だからといってそれがワインを楽しむうえでの苦手意識になるのは避けたいところです。

 

ワインは本来おおらかで様々な楽しみ方を予定しているものです。

そのため最低限のマナーさえあればどこでも対応できますし、押さえるべきポイントはいくつかに絞られてきます。

・大きな声や音を立てない

・香りの強い香水をつけない

・知ったかぶりをしない

この3点を抑えればとりあえずは問題ありません。

 

 

 

 

環境

ワインは飲むときの心理が大きく味わいに影響を与える飲み物です。

例えば結婚式やイベントの乾杯にはシャンパーニュが用いられますが、これはシャンパーニュには気分を高揚させる効果があるために選ばれるのです。

そのためウキウキした気分の時にシャンパーニュを飲めば格別においしくなりますが、逆に気分が下がっているときや考え事をしたいときは重めの赤ワインがいいということにもなります。

 

飲むときの心理は、やはりその場所の環境に大きく左右されます。

高級レストランやワインバーであればおのずといい環境は用意されるものですが、では自宅ではどのような環境がいいのでしょうか?

・清潔であること

・静かな雰囲気であること

・香りが強いものがないこと

・ワインに集中できる環境であること

・暗すぎる照明ではないこと

等が重要です。

 

清潔な環境であることはワインを楽しむ人であれば当たり前かもしれません。

不潔で不衛生な場所でワインを飲んでももったいないですし、さすがにワインが可哀そうでしょう。

香りが強い場所もやはりワインを飲む環境としては不適切でしょう。

香をたいていたり、強い香水の香りがある場所はワインの香りを妨げてしまいますので気を付けましょう。

 

また、これはご家庭の状況によってはやや難しいかもしれませんが、いいワインはある程度ワインに集中できる環境が求められます。

そのため騒々しい環境だったり、あるいは気分的に混乱したときはワインを味わうのは避けたほうが無難です。

 

 

温度ファースト

ワインをおいしく飲むための要件は、主に以下のようなものになります。

・ワイングラス

・ワインを飲む環境

・合わせる料理

・ワインの温度

・ワインの知識

これらの中で、一番ワインの味わいに影響を与えるのはずばり「ワインの温度」です。

温度が適切でないとワインは本来の魅力を出し切れず、そのため「大しておいしくなかった」と思われてしまうのです。

もっとも、ほとんどの方は「赤は常温で、白は冷やして」という決まり文句は知っているかと思います。

しかし、ここまでお読みのあなたが次のステップを目指そうと思った場合、もう少し細かく分類する必要が出てきます。

 

例えば「赤ワインは常温で」も様々でしょう。

ここでいう「常温」とは人間が室内にいて快適な温度ですので、一般的には22~23℃ということになります。

しかし、赤ワインの温度で23℃は、実際には高すぎて味わいがぼやけてしまいます。

赤ワインであれば、16~20度くらいが適切な温度だといわれていて、これは狭い室内で冷房を最大限にする温度なので、これでは寒すぎます。

 

通常は、赤ワインの中でも渋味が少なく飲みやすいものは温度を低く設定しますので、16度くらいがおすすめ温度です。

逆に渋みが強く、飲みごたえのある赤ワインは18~20度くらいにすることがおおいですね。

 

もっとも、ご家庭で16度とか20度とかの温度を設定するのはなかなか大変かもしれません。

ここで簡単に温度を設定する方法をご紹介しましょう。

 

実際に16度の温度を設定するのは大変に難しいのですが、ここはおもいきって水道水と氷で温度調整をしてみてはいかがでしょうか。

https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suigen/topic/03.html

ここに東京都の水道水の温度の表が出ています。

この温度を参考にして氷を入れたり、室温において適切な温度にして、その中にボトルを1時間ほど放置して温度調節をします。

クーラーボックスも温度計も100円均一で買えますから、出費もいいとこ200円です。

 

 

グラスの形と価格

ワインを飲むときに気になるのがグラスの価格とその形でしょう。

これはやや乱暴な意見に聞こえるかもしれませんが、ワインのグラスは一種類あればたいていは合わせることができます。

試しに、中ぶりの大きさで、先がつぼまったチューリップグラスをご購入ください。

↓この画像はすべて100円均一で購入したものです。

 

もちろん、ボルドーの格付けシャトーやブルゴーニュのプルミエクリュとかをいただくのであればもったいないですが、3000円程度のワインであれば十分においしく飲めるグラスです。

ワインは香りを楽しむものですから、先がつぼまっていて香りを閉じ込めることができるものが一番です。

さらに、グラスはあまり大きいと香りが分散してしまいますし、逆に小さいと香りを引き出せません。

そのためげんこつくらいの大きさの中ぶりのグラスであればすべてのワインに合わせやすいのです。

 

もしあなたが「もう少しいいワインを飲みたいなあ」というときは、ぜひ一段上のグラス(↑は1個2000円程度のグラスです)をご購入ください。

ただし、ワイングラスは磨くときにどうしても割れやすく、いきなり1個3000円もするようなグラスを購入すると、最悪な場合初日に割ってしまったなんてことにもなりかねません。

そのためできれば100円均一でいいので何個かそろえて、少し慣れてからいいグラスを買うのがベストでしょう。

 

ワイングラスの種類とその違いについては、

ワイングラスの違いと種類|なぜその形になったの?その根拠は?

をご参考ください。

 

 

保存の仕方

ワインは振動と直射日光、急激な温度変化(特に高温)に弱いです。

このように書くと「そうか、ワインセラーが必要だな・・・」と思う人も多いでしょう。

ただしワインセラーは高額ですし、ご自宅でも場所を取ってしまうのですべての方にとっていい選択だとはいえません。

そのため、もしワインをいただいて、記念日にでも開けてみようという場合は、押し入れの中やタンスの中にでも入れておいてはいかがでしょうか。

特に押し入れの中の布団の中に保管するのはベストかもしれません。

布団は外気の湿気を吸ったり吐いたりしていますし、温度も一定に保たれやすいのです。

ただし、布団の中に置いておいたことを忘れてしまったり、忘れてしまったなんてことにもなりかねません。

それであれば段ボールの適当な大きさのケースに入れて、そのまま押し入れの奥においておくのがベストでしょう。

ちなみに、冷蔵庫で保管するのは絶対に避けたほうがいいでしょう。

冷蔵庫は乾燥しているのでコルクが悪くなってしまい、ワインにとって大事な気密性が失われてしまうのです。

冷蔵庫は冷やす目的の温度調整の時に一晩程度置くのがベストでしょう。

 

 

 

 

赤ワインの飲み方

赤ワインは白ワインと決定的に違うのが、渋みがあって、これが味わいの基礎となっていることです。

そして渋味は冷やせば冷やすほどざらざらした堅い印象になってしまうという特徴があり、これが「赤ワインは常温で」の根拠となっているのです。

例えば赤ワインを白ワインと同様の8~10度で飲むとしましょう。

香りの広がりが少ないということもありますが、それ以上に渋みがざらざらして飲みづらく、これでは赤ワインの風味が台無しだということがわかってもらえると思います。

そのため赤ワインのセオリーは16~20度くらいで、そこから徐々に室温に近づいて温度が上昇する、というのがベストなのです。

温度を適切に管理すれば、後はグラスを中ぶりなチューリップグラスを買いそろえることでとりあえずは大丈夫です。

白ワインに比べて赤ワインは温度が上昇しすぎても気にしないで構いません。

 

 

 

 

白ワインの飲み方

白ワインは赤ワインに比べると渋みがほとんどないため、酸味と果実味のバランスが味わいの基礎なっています。

そのため繊細さが重要になりますので、やや冷やし気味に8度程度に設定するがベストです。

ビールのように冷やせば冷やすほどおいしくなるというものではありません。

8度というのは、冷蔵庫の中でも特に野菜庫が近い温度でしょう。

もし野菜庫がない場合は水道水を氷で冷やし、温度管理をして30分ほど冷やせば近い温度になります。

グラスは赤ワイン同様か、もしくは小ぶりなチューリップグラスで問題ありません。

ワインクーラーがあれば下部に氷だけを入れて、そのうえに置けば温度をある程度一定に保つことが可能です。

もっとも、白ワインの中でも並質のワインと高級ワインはあって、高級なワインは高めの温度などの決まりはありますが、そこまで決めてしまうと逆に堅苦しくなってしまいます。

8度という温度はある程度どのレベルのワインにも合わせやすい温度なので、まずは8度に設定して、その後に好みで調整するのがベストでしょう。

 

 

 

スパークリングワインの飲み方

スパークリングワインの飲み方はこれまでのワインに比べてややレベルは上がります。

というのも、まずはグラスがフルートグラスと言って↓の画像のような細長いグラスを用意するところから始まるからです。

フルートグラスがなぜスパークリングワインに合わせるのかといえば、やはりきれいな泡を美しく見せるためでしょう。

細かいグラスとワインの愛称に関しては別のページに譲るとして、スパークリングワンはフルートグラスで飲むことでおいしさが全く変わってきます。

フルートグラスも100円均一でも売っていますが、100円均一のものはどうしてもガラスの厚みがあって、泡がきれいに見えないところがあります。

そのためできれば通販などでもいいので1脚千円くらいのグラスを買ってもらい、泡を出しすぎないようにゆっくり注ぐのがいいでしょう。

スパークリングワインにもいろいろな種類がありますが、おおよそ白ワインと同様の温度設定で問題ありません。

 

 

まとめ

いかがでしょうか。

ワインを楽しむための最低限のコツをご紹介しました。

長々と書きましたが、ここまで読み込んだあなたであれば、すでにワインファンに片足を踏み入れたようなものです。

まとめると、

①ワインの温度が一番大事

②飲むときの環境

③最低限のマナー

この三つさえ押さえればとりあえずは問題ありません。

 

 

 

最後に一つだけ、これからワインファンになるあなたにお願いがあります。

これからワインが好きになっていくうちに、いろいろな知識を得ることになります。

当サイトで知識を仕入れてもいいでしょう。

そうするとどうしても自分の好きなワイン、嫌いなワインというものができてきます。

好き嫌いは個人の感覚ですからこれは全く問題ありません。

 

しかし、ワインやワインの楽しみ方に「正しい」「正しくない」をぜひ持ち込むことはしないでほしいのです。

こうなると一緒に飲んでいる人がつまらなくなってしまいますし、最悪な場合否定された気分になってしまい、ワインが悪い思い出になってしまいます。

ワインを知ってくるとどうしても背伸びをしてみたくなり、これが「良いワイン」「悪いワイン」を生むきっかけになることもすくなくありません。

 

ワインは本来もっとおおらかで、そして様々な楽しみ方を受け入れてくれるものです。

自分の意見や考えとあわないワインやワインの楽しみ方が目に入るといい気がしないのはその通りでしょう。

ただしまったく性格が同じ人がいないのと同じように、できればワインやワインの楽しみ方には他者におおらかになってみてはいかがでしょうか。

そのうえでご自身の好きなワインを探求してくだされば、これ以上の楽しみ方はないでしょう。